本日は、やろうやろうと思いつつも、結局後回しになっていた「家の中の不用品の処分」に着手した。
こういうものは始めるまでが億劫だが、終わってみると非常に爽快でスッキリした気分となり、その瞬間がたまらなく好きだ。
押入れや棚から出てくる、懐かしき思い出の品々、人生の足跡。
片付けをしながら、その頃の記憶が蘇る…
それと同時に、改めて "時の短さ" というものを実感した。
私の場合は、学生時代を受験勉強に捧げ、入社してからも会社に缶詰めのような人生だったからか、余計にそう感じているのかもしれない。
今の世代の人達は、我々の世代ほど、レールのようなものがガチガチに敷かれていないのを感じる。
LGBT、オタク、ニート、フリーランス… こういったものは、社会的にほとんど無かったに等しい。
それがいいのか悪いのかはともかく、あらゆる方向性で、自由が生まれているというのを感じる。
それによって、今の世代の人達は、いくらかは時の流れを遅く感じているのだろうか…?
入社した会社の説明会の資料が、段ボールの中からたくさん出て来た。
その中には、新入社員が説明会で座った、座席の名簿の紙もあった。
懐かしき同期の名前を久しぶりに見て、あいつらは今頃何をやっているだろう…と、思いを馳せた。
そういえば… 私が新人だった頃の飲み会にて、定年が間近に迫った部長が、こんなことを言っていたのを思い出した。
「田中くん、私はね、誰よりも朝早くに出社して、誰よりも遅くに帰った。それによって、同年代の中ではかなり出世することができたんだ。でも、この年になってみて思ったのは、気付けば私も定年間近で、あっという間の人生だった。ということ。」
「人生の全てを会社に捧げてきたようなもので、その他には、ほとんど何もしてこなかった。だから、退職したあとは、何をしたらいいのか分からないのだ。」
「そこで、未来を担う社員にこんなことを言うのも変なのだが、私のようになってはいけない。と、伝えたいのだよ。 出世することも大事なのだが、出世することが全てじゃない。もっと色々なことに目を向けて、人生を生きてもらいたいのだ。」
その時は、なんとなくしか分からなかったけど、今なら部長が言われていた言葉の意味がよく分かる。
きっと部長も、
立ち止まり、振り返り、顧みてみたのだ。
これまでの人生のことを。
人の数だけ、人生がある。
部長は、私に伝えてくれた。人生において大切なことを。
今度は、私の番だ。
私も伝えて行こう。人生において大切なことを。
部長は伝え、私に伝わったように、
私も伝えれば、きっと誰かに伝わるはず。
伝えないといけない。
私達の人生は、ただ意味もなく生まれ、意味もなく死んで行く
なんとなく、そうじゃない気がするからだ。
(第5話へ続く)