競馬の世界には「バランスオブゲーム」という名の、競馬ファンから人気の高かった競走馬がいました。
最も格式の高いGⅠレースの勝利こそ無いものの、GⅡのレースでは並み居る強豪馬相手に6勝を挙げるなどの活躍を見せ、
しかもその馬のオーナーが、人気競馬ゲームシリーズ「ダービースタリオン」の生みの親である、薗部博之氏であったことも、人気の大きな理由の1つでした。
バランスオブゲームの意味とは、直訳の通り、ゲームの「バランス」のことであり、
ダービースタリオンシリーズでは、作品によって逃げ馬天国であったり、追い込み馬天国であったり等、良くも悪くもそのゲームバランスについて、ユーザーから多くの意見が寄せられていました。
また、ドラゴンクエストシリーズなどでも、
Ⅱは攻略難易度が高すぎて「鬼畜ゲー」と呼ばれる一方、「難しいほど燃える」というユーザーからは評価が高く、賛否両論。意見が分かれ、
またⅦでは、前作からのジョブの数を約3倍に増やしたことが物議を醸し、「ジョブの数が多すぎる」「前作の方が良かった」という声も多く挙がっていたようです。
ゲーム開発者にとって、その作品のバランスを最適に調整することは、作品づくりにおける至上命題の1つであり、
この点がプレイヤーの満足度、ゲームの評価に大きく関わってくるようです。
しかし、私達人間が生きているこの世界とは、完璧なバランスによって成り立っています。
「この世界のこんなところが欠陥している」などと言っている人を見たことが無く、それどころか、この世界について人間が分かっていない領域が山のようにある。という現実。
この世界の中で生きている私達は、それがなにか「当たり前」であるかのように思ってしまいがちですが、これって実はもの凄いことなのだ。ということが、ゲームという世界を通して分かります。
ゲーム開発も、各専門分野のプロが集まってチームを組み、その知恵や技術が結集され、何名もの人がテストプレイを繰り返し、そういった過程を経てから世に送り出しているのに、
「完璧な作品を作ることは極めて難しい」というのが現実であります。
それどころか、人間が作ったものである以上、同じ人間に "攻略" されてしまう可能性がある。
つまり、「製作者が全く想定してしない形で、ゲームを遊ばれてしまう」ということであり、 今では、「原作崩壊」「メーカー想定外」 そういったプレイを売りに、YouTubeで人気を獲得しているチャンネルがいくつもあります。
例えば、「ファイナルファンタジー 6」というゲームにおいて、
これまで数十年間誰からも発見されなかった「バグ」を発見し、そういったバグを駆使した独自のやり込みプレイで人気を博し、もはや全く別のゲームのようにプレイしていることから「FF6を破壊し続ける男」という異名を持つ有名プレイヤーさんもいます。
『FF6』のバグを令和になっても探し続ける男──「縛りプレイ記録更新のために本職のゲームデバッガーに」狂気に満ちたやりこみゲーマーの生き様に迫る
このように、人間の作った世界なら、優秀なデバッカーさんがゲームの秩序さえ崩壊してしまうことは、十分にあり得ることです。
しかし、この「地球」という世界において、
なにか人間がこの世界のバグのようなものを発見し、世界の秩序が崩壊し、「地球が人間に遊ばれてしまう」なんてことがありましたでしょうか?
こういったことを改めて考えてみた時に、地球というこの世界は「恐ろしいほどに完璧なバランスと、ミスの無い設計によってつくられている」ということが分かり、人間の知能を遥かに超えています。
約80億人という人間が束になっても、バグの1つを発見するどころか、この世界は分からないことがまだまだたくさんある訳なのですから。
そして「バランスが存在している」ということは、すなわち「その創造者が存在している。少なくともその可能性が高い」ということを意味しているように思います。
「偶然によって出来たものが、人間の知能を遥かに超えるほど精密で完璧な世界だった。」そんなことが果たして、有り得ますでしょうか?
バランスが存在している何か明確な被造物というのは、「創造者という存在がセットとなっている。少なくともその可能性が高い」ということは、確かに言えるはずです!