地獄があって天国が分かる
闇があって光が分かる
戦争があって平和が分かる
私は「有無相生」という四字熟語を目にした時、世の中ってまさに、この4文字に集約されているんじゃないか?と思いました。
ちょっと考えてみただけでも、ほとんど全てが、そうなんじゃないか?と。
例えば「あなたが1番美人だと思う人は誰ですか?」と聞かれ、その思い描いた人というのは、
この世界にもしもその1人しか存在していなかったら、その人が美人かどうかというのは、人間は分からないのです。
世の中に何十億人という人が存在しているから、相対的に、美人と判断できているのだ、と。
雨の日があるから、晴れの日があって
悪いことがあるから、良いこともある
悪人がいるから、善人もいるんだ
毎日が良い日だったら、それは良い日でさえなくなる。それが普通となり、良い日という概念が消滅する。
病気になった人が、それによって健康という有難みを知った、という話をよく聞いたことがあります。
そういう意味では、「病気とは、健康という状態を知る為に存在している」と言えるのかもしれません。
反対の世界が分からないと、その世界の良さが分からない
なので私は「貧乏を知らないお金持ちって、本当に幸せなことなのだろうか?」と、考えるようになりました。
実際にお金を持っていても、全然幸せそうじゃないお金持ちの人も、世の中にはたくさんいらっしゃいます。
私は子どもの頃、父から「苦労は買ってでもしろ」と言われたことがあります。
社会人になるまではその意味がよく分かりませんでしたが、一人暮らしをして、自立していく中で、その言葉の意味がようやく分かってきました。
苦労した人ほど、より多くの幸せを享受することができる。
地獄を知っている人ほど、天国をより天国だと感じることができる。
私はこんな話を聞いたことがあります。
その人はアウトロー系の人で、外国人の仲間を何人か日本に連れて来たそうですが、その外国人の人達は「こんな平和な国があるのか」と、驚いたそうです。
向こうでは、背中を見せてレストランで食事ができない。そういう世界で生きているとのことで、なので日本という国が、まるで天国のように思えたのでしょう。
死線を潜り抜けた経験のある人だからこそ、日本という国の有難みを真に理解することができる。
逆にこういった経験がない、間接的にでも知らない、ということであれば、それが「普通」であり、人はそこから何も感じることが無いのだなと思いました。
これはお金持ちが、お金を持っているのが当たり前だと思っている感覚に似ていると思いました。
だからこそ、この世の中は有無相生。「反対の世界を知る」ということが、本当に重要なことなのだと悟りました。