SNSを始めてから、1年余りの時が経とうとしていた。
雪は溶け、桜が咲き、灼熱の太陽が照り、葉は色づく
季節は変わりゆくけれど、
世の中は何も変わっていなかった
悪政によって、社会全体に厳しい風が吹き荒れているが、
相も変わらず、テレビ新聞を未だ多くの人が惰性で見続ける。
ただそれでも、SNSをやっている人も、かなり多い。
そして多くの人が、世の中が良い方向に変わって欲しいと願いながら、情報発信を続けている。
それによって確かに、日々、大きな悪が暴かれている。 悪人達は次々と、行った悪の通りに報われている。
その手応え自体は、SNSをやっている人達は皆感じている。
なのにどういう訳か、世の中そのものは、変わらないのだ。
いや、それどころか、現状維持すら出来ていない。逆に悪くなっているのでは?とさえ、思う時もある。
これは一体どういうことなのだろうか?と思った。
支配者層達が行った悪の通りに報われていくにつれ、世の中も、なし崩し的に浄化されていくのが… ‥
「……とむ…さん…? つ・と・む さんっ!」
「はっ」
「あの…5番さんの天ざるのおそばまだですか?」
「大変失礼いたしました。すぐにお出しします。」
特にここ最近は、心の状態が安定していないような気がする。
苛立ち、焦りのようなものが、あるからだろうか。
情報発信をすれば、世の中が変わると思った。
でも、事はそう単純ではなかった。
仮にこのまま、あと数年情報発信を続けたとしても、同じ状態がずっと続くだけなのではないか。
いや、それどころか、彼らの理不尽に押し切られてしまうのではないか。と思った。
よくよく考えてみると、仮にも彼ら支配者層らは、
ありとあらゆる知識・知恵・技術・富・権力・人脈をもって、世の中を支配していた側なのだから、
一般庶民が、SNSで情報発信して、簡単に転覆してしまう そんな一筋縄でいく相手ではなかったのだ。
そんな簡単に倒れないよう、様々な対策を講じている、向こうも。
…しかし、では一体どうすればいいのだろうか?
私達に出来ることは、他に何があるだろうか?
何か突破口はないか…
なにか…
(第18話へ続く)